子どもの歯に見られる症状の1つに、“癒合歯(ゆごうし)”というものがあります。
こちらは、歯の形態異常であり、放置することでさまざまなリスクが生まれるものです。
ここからは、癒合歯とはどのようなものなのか、問題点や治療法にはどのようなものがあるのかについてお話ししたいと思います。
●癒合歯とは?
子どもの歯に見られる癒合歯とは、隣り合う複数の歯がくっつく(癒合する)ことにより、1本の歯のように生える症状
をいいます。
永久歯よりも、乳歯に見られることが多いです。
具体的には、下顎の乳側切歯と乳犬歯、下顎の乳中切歯と乳側切歯、上顎の乳側切歯と乳中切歯などがくっついてしまうものであり、すぐには気付かないこともよくあります。
●癒合歯における問題点とは?
子どもの乳歯が癒合歯である場合、そのまま放置するとさまざまなリスクが高まります。
1つは、次に生えてくる永久歯に悪影響を及ぼすリスクです。
癒合歯がある場合、永久歯の本数が減少したり、大きさが通常よりも小さくなってしまったりする可能性が高くなりことがあります。
また、癒合歯があることで、スムーズに乳歯から永久歯へ歯が生え変わらないおそれもあります。
こちらは、永久歯の生え変わり時期に癒合歯がうまく吸収されず、自然に抜けるのが困難になることが理由です。
その他、子どもの癒合歯におけるリスクとしては、虫歯を発症しやすくなることも挙げられます。癒合している歯の境目には、通常の歯には見られない溝があります。
こちらには歯垢がたまりやすく、しっかりと歯磨きをしていても、虫歯のリスクは高くなります。
●癒合歯の治療法について
子どもの癒合歯に施す治療は、基本的にシーラントやフッ素の塗布といった、虫歯を予防するための治療だけになることがほとんどです。
癒合している箇所を削って複数の歯に戻したり、抜歯したりすることはほとんどありません。
ただし、現在の癒合具合や永久歯の萌出状況、顎の成長度などに歯並びに問題が見られる場合は、早期に矯正治療を検討することもあります。
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